さいのめ

観た映画の感想などなど。

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レビュー:東京物語  [edit]

 このブログ初の白黒作品のご紹介。古いモノにも素敵な作品がいっぱいあるんですよ♪
 
『東京物語』
 小津安二郎監督 1953年

東京物語 [DVD]
 東京旅行を兼ね、離れて暮らす子どもたちのもとに、はるばる尾道から訪ねることになった老夫婦。
 長男夫婦や長女夫婦の家に厄介になる老夫婦だったが、長男も長女も両親のことより自分たちの生活で手一杯。そんな子供たちに代わって、老夫婦に東京を案内するのは、第二次大戦で戦死した二男の妻、紀子だった。
 実の子どもたちのどこか冷めた様子に寂しさを感じつつも、「楽しかった」と言い残して老夫婦は尾道へ帰っていく…。

 
 戦後間もないころの映画ですが、描かれているテーマが今に通じるところもあり、現代人の私たちから観てもハッとさせられる映画だと思います。特に、親元を離れ、大した距離じゃないのにろくに実家にも帰らない、まるで誰かさんのようなバカ息子には少々堪えますよ、きっと…。はぁ。
 
 この作品で僕が何よりも推したいのは、その独特な作風です。後から調べてみたところ、「小津調」という名前が付いているんだとか。
 
 作中の至る所に登場する登場人物の会話シーン。これが、上半身アップのカットだけでつながれます。
 淡々と同じカットを繰り返すだけ、変化らしい変化のない映像。なのに、観ていてこんなに迫ってくるのは、訴えかけてくるのはどうしてなんだろう。
 ちょっと技術的っぽい話になりますが、映像をかじったことがある人の常識として、似たアングルを繰り返しちゃいけないとか、イマジナリーラインを超えちゃいけないとか、御法度とされていることがいくつかあるんです。観ている人に飽きさせたり、違和感を与えたりしてしちゃいけませんからね。
 ところが、この映画ではそれが生き生きとした映像に仕上がっている。変化のなさが、かえって僅かな変化を際立たせているとでもいうのでしょうか。登場人物の感情の変化がじわじわ伝わってきます。
 こんな表現方法があるなんて思いもしなかった。そして何より、その表現方法を大成功させている小津安二郎監督のセンス。とにかくハンパないです。
 
 高校生のうちにこの映画に出会っていたかったな。そしたらきっと、部活でやっていたドラマ制作にも多大な影響を与えてくれていただろうと思います。間違いなく、ひとつの目標になってたと思います。
 
 この東京物語が僕にとって初めての小津作品だったので、他の小津監督の作品も観てみようと思います。白黒の作品が苦手という人も、だまされたと思って是非。
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 [ Tags ]  邦画  家族 

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レビュー:リリイ・シュシュのすべて  [edit]

 最初はとにかくこの映画にしようと決めていたので。
 たぶん、僕が一番影響を受けた映画です。
 
『リリイ・シュシュのすべて』
 岩井俊二監督 2001年

リリイ・シュシュのすべて 通常版 [DVD]
 いじめグループに目をつけられ、こき使われる主人公。そんな彼の拠り所は、劇中の歌姫リリイ・シュシュ。 リリイを聴いてるときだけ、彼はエーテルで満たされる。エーテルが彼を受け入れ、苦痛を忘れることができる。
 
 途中に挟まれる1年前の明るい記憶と、今現在抱える苦悩。
 14歳の小さな世界に残酷すぎる現実によって、彼を守っていたエーテルが徐々に毒気を帯びていく様子は、観ている方も辛い。心地よい映像と音楽が、その無情さをさらに際立たせてくれる。
 
 高校1年の春、初めてこの映画を観ました。
 当時は岩井俊二の名前すら知らなかったのですが、映像を通して突きつけられるいろいろな感情の波と波長が合ってしまった当時の僕は、入ってきた情報を処理しきれずに大混乱してしまい… 結果、いまだに続く重度の中二病を患った上、高校生活を創作テレビドラマの制作に捧げることを決めたのでした(苦笑)

 久しぶりにこの映画を見て感じたことは、当時とは違う、主人公を始めとした登場人物への「哀れみ」。
 僕がこの映画を達観できるくらい成長したということなのか、単にこの映画に慣れてきてしまっただけなのか…。理由ははっきり分かりません。
 でも、それもいいと思いました。この映画は、そういう映画なんだと思います。また数年後この映画を見たときには、またきっと違う映画のように感じるのでしょう。

 間違いなく好き嫌いは分かれるだろうし、声高にオススメはできないけれど。
 でも、思春期を経験したことのあるみんなに、ぜひ一度は見てほしい映画です。

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 [ Tags ]  邦画  青春   

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